任期満了に伴う名古屋市長選挙は河村たかし氏が5万票差で元市議の横井利明氏らの追撃をかわし、5度目の当選を果たしました。河村市長と元市議の横井氏。この二人による対立は既に10年以上前から繰り返されており、失速著しい河村市政に横井さんがどこまで食い込むかが注目されました。最終的には自民党・公明党に限らず、立憲民主党や共産党までもが横井氏に相乗りする異常事態となりましたが及びませんでした。

何と言っても、有権者が重視したのは2点。まず、横井氏は230万人の市民全員に1人2万円の商品券を給付するという「バラマキ」を公約にしたこと。結局、買収と勘違いされかねない行為を公約にせねばならなかったところ、公約の実現性と市政通と言われるほどの積み重ねてきた実績が崩れ落ちた印象を持ちました。 次に、これまで議員報酬問題で横井氏は先頭を切っていたことへの市民の不信です。そもそも、名古屋市会議員の議員報酬は年間1,600万円余りでした。これが河村市長になってから市議会リコール運動を経て、地域政党の減税日本が市議会の過半数を越すと河村市長の公約通り800万円に一度は半減されるものの、その減税日本が失速し自民党が第一党になると他の政党も相乗りとなり、1,450万円に戻ってしまいました。横井氏はその主導者であり市議会での急先鋒だったことを、名古屋市民も忘れずに覚えていたわけです。横井氏は選挙戦の中で「市長給与を年間544万円にする」公約を発表しましたが、30年に渡る市議生活での収入や、南区の幼稚園を経営していることから、生涯獲得賃金5億円プレイヤーである横井さんのパフォーマンスに市民の反応は冷ややかなものでした。これまでの選挙でも直接対決を避け続け、河村市長の凋落を確認の上での出馬であるのもマイナスポイントでした。
横井氏で最大の疑問点が 「ナゴヤが、変わる。」 というキャッチコピー。なぜ、ナゴヤ「が」変わるのか。もし、政令指定都市のリーダーとなるのなら、
「ナゴヤを、変える」 じゃなかったのかなと。名古屋市政の刷新もこれでは他人事じゃないですか。私はこのキャッチコピーの絶望的なセンスの悪さで決まってしまったように感じます。 かといっても、河村市長もこれで最後の4年間となりますが後継者を擁立できるのでしょうか?4年後に再び自民党寄りの市長に戻るようでは、名古屋市民のため息が聞こえてきます。いろいろ行き詰まり感が強いですが、この4年は市長としての仕上げを行って欲しいものです。
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