近鉄伊賀線と並んで近鉄からの分離が決定し存廃が注目されていた近鉄養老線(桑名~大垣~揖斐・57.5km)が近鉄の全額出資による子会社「養老鉄道株式会社」として存続することが決定し、早ければ今年中にも経営移管がなされるらしい。なお、養老線の施設は移管後も従前通り近鉄が所有・管理し、「養老鉄道株式会社」は養老線の営業・運行のみを行なう広義の意味での上下分離方式で運営されるそうだ。 経営を分割すると経営の効率化が図れることと、自由に運賃の設定ができるのが魅力とか。名古屋でいえば、JR東海と城北線のような関係かな。沿線自治体の支援については、2007年度が固定資産額のみの援助。その後、2008~2010年度分の沿線市町の支援額と負担割合が決められただけで、2011年度以降については2010年度にあらためて協議するとのこと。
近鉄ホームページ 「養老線の事業形態の変更に伴う第一種鉄道事業の廃止届出および新会社の設立について」 http://www.kintetsu.jp/news/files/yourou20070214.pdf
三岐鉄道に移管された旧近鉄北勢線のような劣悪かつ老朽化の激しい状況ではないものの、大手私鉄とは思えない設備でローカル線並みの養老線。桑名~大垣間を何度か通しで利用したことがあるが、養老山地の麓に沿って忠実に走る路線で、43kmを70~75分かけてのんびり走る。ただ、並行する国道258号線は大垣市街地を除き信号機も少ない高規格道路で、クルマはガンガン飛ばして追い越してゆく。何とかしてこの区間を1時間以内で走破できるようにスピードアップが求められる。ただ、設備は近鉄に所有権があるということで養老鉄道単独で改良するにも限りがあり、これが会社の運命を左右しないか心配である。また、養老線は平成16年度・17年度とも約14億円の赤字を計上している。経費節減で仮に半分に圧縮したとしても7億円の赤字。更に沿線自治体からの支援の上限は3億円ということで経営は相当苦しそうだね。 近鉄は合理化の一環で養老線を含む一部区間で車掌を乗せない「ワンマン運転」を行っているが、近鉄のシステムはかなりいい加減で「後乗り前降り方式」や「運転士による乗車券の回収」といったや基本的な業務すらおろそかになっており、ワンマン運転区間で相当額の運賃取りこぼしがあると思われる。これは旧北勢線で見かけたのだが、ワンマン運転で無人駅に停車するのにすべての扉を開けるので、乗客が勝手に近くの扉から下車していまい、運転士が乗車券の回収や定期券の確認ができず不正乗車を横行させる土壌になっていた。また、無人駅から無人駅へ利用する場合、きっぷが無い場合は下車駅に設置された回収箱に運賃を入れるように書いているが、運転士が目視確認できないことからほとんど機能しておらず衝撃を受けたことを覚えている。これには近鉄も黙ってはおらず、養老線でもワンマン運転区間の途中駅から機動改札の如く車掌が区間限定で乗り込んで検札しているが、運賃の取りこぼしは他の鉄道会社を遥かに上回るものだろう。別会社となることで、運賃は別立てになり近鉄名古屋線からの通し運賃ではなくなる公算が高い。実質的な運賃値上げになりそうだが、運賃取りこぼしなんて初歩的ミスを無くし安易な値上げに頼らない収益力を上げる必要がある。 鉄道のネットワークについて欲をいえば、大垣駅で接続するJR東海道線との直通運転も考えてみてはどうか。幸いにもレール幅・電化方式が同じで保安装置などを共通化すればできる。愛知環状鉄道でも直通運行を始めており、公共交通を利用する上の障害となる「乗換」を無くす効果はあると思うのだが。ちょっと無理かな。
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