岐阜県の明知鉄道がDMVの実証実験を行うそうです。
線路上と道路の両方を走行できるDMV(デュアル・モード・ビークル)の本年度の実証実験走行が、第三セクター明知鉄道(恵那市明智町)で行われることが16日、正式決定した。同鉄道では来年3月の実験実施を予定している。 DMVはJR北海道が開発。実証実験は、国土交通省が公共交通の新たな形として2007年度から1カ所ずつ行っており、明知鉄道は昨年度の天竜浜名湖鉄道(静岡県)に続いて3例目。 ▽車両購入費、燃料費などコスト削減▽乗り継ぎ不要など利便性の向上▽観光面での効果―などのメリットがあり、恵那市では07年度から研究を進め、昨年度から実験実施を申請していた。 実証実験は、今年末の夜間試験走行の後、来年3月実施を計画。岩村駅から明智駅(10・2キロ)まで線路を走行、日本大正村を周回し国道363号を岩村駅まで走行する。期間は3日間程度、1日4便の予定。 可知義明恵那市長は「医療機関への通院、観光地へのアクセスなど乗り継ぎをなくせる。昼間運行の効率化、観光面の話題としても期待でき、導入に向け実験を進めたい」と話した。
引用元:http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20090617/200906170809_8115.shtml 一見、良さそうな気がしますが、疑問がいくつも浮上するのです。まず、明智の日本大正村は明智駅から徒歩10分ほどのところにあって、明智駅から乗り物に乗っていくほどの距離もクルマで周遊する規模もありません。徒歩だからこそ、時間をかけてみられる観光地なのです。また、DMVの輸送人員には限られており、日本大正村への観光客はこの程度と恵那市が判断するのもおかしな話です。しかも、明智から岩村までは明知鉄道に並行する国道363号線を走り、自らの運賃収入を否定するような内容です。いくら実験とはいえ、恵那市の明知鉄道に対しての見解が少しひどくないかと思うのは私だけでしょうか。 もし、明知鉄道で行うのなら、恵那駅から岩村駅まで線路を走り、岩村駅から国道257号線経由で恵那市の旧上矢作町エリアを結ぶバス路線か、明知鉄道全線と明智駅から旧串原村地域へのバス路線としての実験を行うのが、本来のDMV路線らしい実験になると思う。日本大正村を回る程度の今回の実験では、せっかくの実証実験も明知鉄道の話題作りのレベルで終わってしまいそうだ。 そもそも、DMVは日本の公共交通で定着できるのか、という疑問を払拭するに至らない。DMVを必要とする地域は多いはずなのだが、実際にこれが定着する環境にある地域は少ないのではなかろうか。すでに廃止されたが、豊橋鉄道田口線や名鉄八百津線など終着駅から街の中心部まで離れている路線で、かつDMVで賄えられる輸送乗客数(=1両編成運行で可能なレベル)の少ない路線でないと難しい気がする。
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