京都の五山の送り火でも問題となった放射能に起因する、東日本大震災被災地に対する根拠なき風評問題。本来、安全であることを周知すべき行政が、たった20名ほどのクレームに屈し、風評被害を助長させてしまう大変残念な事例が発生しました。 名古屋に隣接する愛知県日進市の花火大会で、東日本大震災の被災復興祈願として福島・宮城・岩手各県の花火業者の花火を打ち上げる計画だったのものの、放射能を心配する市民の抗議で福島県の花火業者だけが打ち上げを取りやめ、前日の段階で愛知県内の花火業者に切り替えられていたことが判明しました。
愛知県では「セシウムさん」事件を起こした東海テレビの件が記憶に新しく、またしても愛知県かと思うと同じ愛知県民として情けなく悲しくなります。花火に放射能がというのなら、日進市内を縦断している東名高速だって、クルマ・トラックに付着した残留放射能が…とかクレーマーたちは言わなアカンのでは? 主催者の日進市役所も対応が実にお粗末で、「市民の抗議」という報道から花火を楽しみにしていた8万人の日進市民にまでも汚名の濡れ衣をかけたままです。被災地の夢をぶち壊して何が「夢祭り」「夢花火」だ!なんて、日進市へのバッシングが過熱する恐れもあります。これについては、当の日進市民が市役所や主催者に怒りをぶつけるなり議論するなりして、今回の対応について検証して欲しいものです。 福島県の花火業者には花火代金の支払いは行われているはずですが、花火業者の製造努力を踏みにじってしまったことは事実であり、その分については謝罪と場合によっては補償をする必要もあるかと思います。
一点不思議なのは、開催前日という段階でも、愛知県内の打ち上げ花火の業者は変更に応じられる余裕があったということ。時期はずれというのもありますが、打ち上げが80発だけとはいえ「明日空いてる?」とか急に言われると業種を問わず慌てるもんだけど。花火業者って、在庫を確保しているのでしょうか?花火って保管が難しいはずですし、打ち上げ花火は作るにも手間がかかるものですから、このタイミングでよく引き受けられたなって思います。
日進市は少し前まで郡部だった街としては新興地域です。日進に限らず、お隣で来年市制施行するN町や名古屋に隣接する30万人都市のK市しかり、名古屋近郊(特に北東部)の地域では、既存からの古い観念のままの住人と名古屋の考え方をそのまま持ち込む新住人で街が二分されており、中間層が希薄である特徴があります。本来、街を引っ張っていかねばならない行政や商工業者は既存の住民ばかりで凝り固まってしまっている点でも共通しており、住民の相互理解を深めていない新興地域独特の問題も今回の事例と決して無関係ではないと思います。 前例がない場合は仕方ない部分もありますが、今回の件については前例もありますので日進市役所は弁解の余地はありません。行政だけでなく、一般市民もちゃんと学習しましょう。
愛知県日進市で18日夜に行われた「にっしん夢まつり・夢花火」大会で東日本大震災の被災地応援のため予定されていた福島県産花火の打ち上げが、放射能を心配する市民の抗議で取りやめられたことがわかった。 市などでつくる実行委員会などによると、大会では岩手、宮城、福島県産のスターマイン各1基を打ち上げる予定だったが、実行委は直前の17日、福島県産の1基分(80発)の不使用を決め、愛知県内の業者が製造した花火に替えた。「放射能をまき散らすな」といった電話やメールが約20件寄せられ、花火の放射線量の数値確認も間に合わなかったためだという。 花火を製造した福島県川俣町の「菅野煙火店」を営む菅野忠夫さん(77)は「本当に悲しくなった。この夏も各地の花火大会に出荷したが、放射能の話は一つも出なかった」と話した。 引用元:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110919-00000346-yom-soci
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