 三重県の三岐鉄道が今年に入って3度目の脱線事故を起こしてしまいました。三岐鉄道といえば貨物主体の鉄道会社であり、積載量の多い貨物列車を走らせる以上、軌道の整備や列車の安全性には細心の注意を払っている鉄道会社でしたが、相次ぐ事故の連発に三岐鉄道の管理体制が問われようとしています(画像は2012年11月8日中日新聞夕刊より)。 今年2月と6月に東藤原駅で貨物列車が脱線、軌道に問題があったのか現在東藤原駅構内において軌道改修工事を実施しているため、来年の1月まで東藤原駅~西藤原駅間はバス代行輸送になっています。
 今回の事故の場合、安全側線に入っての脱線であることから、運転士による信号見落としという極めて単純な人為的ミスである可能性が高いと思われます。しかし、たった2人ながらも乗客がいたわけで、この事故がもし朝の通勤時間帯だったらと思うとゾッとします(画像は2012年11月9日朝日新聞朝刊より)。 今回の事故を誘発した温床としては、三岐鉄道独自の合理化策の影響も考えられます。ローカル線において、途中駅を駅員のいない無人駅にする代わりに車掌が常時車内を巡回する鉄道は多いですが、三岐鉄道はこの逆パターンを採用し、1駅を除き、残りすべての駅に駅員を配置する半面、電車はワンマン運転という方式を取っています。朝日新聞の報道によれば、三岐鉄道のマニュアルでは信号が青になるまで電車の扉は閉めないそうです。もし、この列車に車掌が乗務していれば、運転士に伝えるなどして事故を回避できたかもしれません。 このように事故が連続すると、思い浮かぶのは福井県・京福電鉄の運行中止命令です。2度の正面衝突事故を起こし電車の運転ができなくなり、沿線住民は代行バスで甚大な影響を受けた「負の社会実験」と呼ばれる壮絶な苦汁を味わいました。あの悪夢を二度と起こしてはなりません。 今後、原因が究明されると思います。ATSなど安全設備の整備はもちろんですが、本来ならそれに頼らずとも安全運行するのがプロです。地域の足を守る責務を持っているのですから、今後事故を起こし地域住民に影響を与えないように安全運行に勤めて欲しいものです。
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