名古屋の郊外、愛知県蟹江町にある「尾張温泉」。その中核である尾張温泉東海センターに併設する「尾張温泉観光ホテル」が1月31日で、日帰り入浴施設「東海センター」の昼の部(演芸)が3月30日で終了することが明らかになりました(画像は2012年12月21日中日新聞朝刊より)。今後も「東海センター」の夜の部は営業を継続するそうですが、尾張温泉では「松岡豊泉閣」が2010年2月末で閉店しており、名古屋近郊の温泉である尾張温泉が大きく方向転換しようとしています。 もともとは、「東海ヘルスセンター」という名称で1963年(昭和38年)にオープン。1966年に温泉の掘削に成功したそうです。その後は宿泊客や日帰り利用客の為の施設として、大ステージでは歌謡ショーや大衆演劇が催されている。また、ここは名称でピンとくる人もいることでしょうが、この施設の運営は東海ラジオ放送の子会社・東放企業株式会社が行なっており、演歌歌手を招いての東海ラジオ公開録音番組「花の歌謡祭り」の収録も行なわれていることでも知られます。
そもそも、名古屋の熱田神宮から三重県の御在所岳にかけての一帯は高温で湧出量の多い温泉鉱脈があり、各地に温泉施設が点在している隠れた「温泉銀座」です。特に有名なのは三重県桑名市にある「長島温泉」で、その知名度は今や全国区です。最近では三重県菰野町の「アクアイグニス」が注目を集めています。このアクアイグニス、元は片岡温泉という名称で渋い温泉施設でした。温泉に限らず、グルメやスイーツとリンクさせているのが特徴です。 尾張温泉東海センターも大衆演劇や歌謡ステージやラジオの公開録音という武器を持つ温泉施設であり、それなりの支持を受けているのは事実です。しかし、それは比較的安全牌と思しき高齢者にターゲットを合わせた旧態な手法であり、これだけ車が普及した現代では宿泊する人は極めて稀であり、時代の波に埋没してしまった印象を持ちます。尾張温泉の強みは湧出量と、名古屋都心からの近さにあります。もう少し、都心部の人の日常的な利用を考慮すれば、改築するなどのリニューアルを経て十分勝負できたと思います。 温泉は資源です。自然の恵みを有効活用することで尾張温泉も街も活性化します。アイデアを出し合いながら、今後も営業を続けられることを祈念します。
テーマ:東海地域情報(愛知・岐阜・静岡・三重) - ジャンル:地域情報
|