名古屋市交通局の「敬老パス」。65歳以上の高齢者が一部負担金を支払うことで地下鉄と市バスが1年間、乗り放題になる定期券として知られます。ところが、名古屋市が昨年11月に新年度に目指していた高齢者の負担金を2倍に引き上げる方針をであることが明らかとなり、議論の行方が気になっていましたが、敬老パスを所管する名古屋市健康福祉局がその計画を断念していたことが明らかになりました。負担金引き上げは高齢化の進展で増え続ける事業費抑制が目的でしたが、河村たかし市長の同意が得られなかったのが最大の要因だったそうです。
敬老パスを所管する名古屋市健康福祉局は昨年11月以降、河村市長に対して負担金引き上げへの理解を求めていましたが、市長は「引き上げより、乗客を増やす施策に力を入れるべきだ」と納得しなかったそうで、健康福祉局は新年度の引き上げを断念することを市長に伝えたそうです。新年度の敬老パス関連予算案は、現行制度を前提につくられるとのこと。 敬老パスの負担金制度は2004年に導入。負担額は所得に応じ、年間1000円・3000円・5000円と異なります。健康福祉局は、敬老パスの利用者数に割引運賃をかけた総額を事業費として交通局などに支払っており、事業費は年130億円。負担金で賄える10億円を除く120億円は税金で負担しているため、名古屋市の財政を圧迫する存在になっています。
名古屋市政を考えるうえで、敬老パスの存在は事あるごとに議論の対象となりました。本山市長時代にスタートしたこの制度。当時は大いに歓迎されましたが、高齢化社会の到来と交通局収支の悪化が重なり、松原市長時代には負担金の設定が行われましたが、なおタダ同然の敬老パスについて見直しを求める声も高まりつつあります。私は現行の2倍程度の値上げを行っても、高齢者も「受益者負担の法則」に従い負担することこそ、市民としての社会参加だと思います。
しかし、河村市長。交通局についてはノープランぶりが露呈しています。当選当時は交通局民営化と言ってた頃の勢いは既に失せ、あおなみ線SL走行実験で市民世論を二分する始末。更に今回の敬老パス値上げ中止。選挙では圧倒的な強さを誇る名古屋の殿様も、遂に選挙対策のエサとして「敬老パス」特権の温存を示したのは、次回の市長選及び市会選対策のような気もします。特に後者では減税日本が何議席残るか、半ば程度問題になっていますからね。遂に敬老パスが選挙の票を左右する点取り虫になるとは、創設した本山市長はお嘆きのことでしょうね。
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