 全国で増えている自動車の「ご当地ナンバー」。地域での導入運動から始まり、県や国への陳情を繰り返して実現していくものですが、この波が1周遅れで岐阜県にもやって来ました!その声は岐阜県で最も地味で、岐阜県らしくない地域・東濃地区からでした(画像は中日新聞2017年9月8日朝刊岐阜県版より)。  2020年度の導入を目標に多治見と恵那の商工会議所が要望を市長に提出したそうで、今後は土岐・瑞浪・中津川の各市に加え、隣接する可児市でも同様の陳情が行われる模様です。東濃地方が岐阜県成立以降およそ150年、岐阜県というカテゴリーに埋没しているのは事実であり、その中でも特に岐阜市中心の岐阜県行政では長年「化外の地」扱いで、発信能力も劣っている東濃の地域性を発信する意味で、最も簡単でインパクトを与えやすい媒体は「ご当地ナンバー」です。 そもそも、東濃地方は岐阜県であって、岐阜県らしくない。他県から来る人も「同じ岐阜県でも独特の印象」と言う人もいます。県庁所在地の岐阜市より、隣の県の名古屋市の方が近い。通勤・通学・休日は岐阜市より名古屋市。岐阜新聞より中日新聞が圧倒的に購読者が多い。岐阜放送よりテレビ愛知の方が有益なので見たい!名古屋市へは毎月行っても、県庁のある岐阜市へ行くのは生涯に1度あるかどうかなんて人がザラにいる。県境を越えた往来が日常的で県庁所在地への往来が疎遠な、ある意味、特殊な地域です。全国的に見ても、こんな地域事情を抱えているのは岐阜県東濃地方の他に、福井県若狭地方、長野県飯田下伊那地方ぐらいでしょうか? だから、よその地域の方から、「長良川鵜飼の魅力って何ですか?」とか、「新幹線岐阜羽島駅は大野伴睦の政治駅で…」とか、「伊吹おろしで冬は冷えますねぇ」とか、「岐阜の人だから、スキー上手なんでしょ?」など、言われても、東濃地方の人はまったく反応できない人ばかりなんです。無愛想でも無教養でもなく、テレビでしか見たことないのだから。あれは岐阜県でもあっち、岐阜市の方でやっていることだから。あちらとは風土も歩んだ歴史も県民性も、まるで異なるのです。そういう岐阜県民もいるってこと、よく覚えておいてください。ココ、試験に出ますよ!(←ウソ)
話が脱線しましたので、元に戻します。 しかし、今回の報道で残念に思うのは、ご当地ナンバーの名称。地域の総称である東濃(とうのう)ではなく、「東美濃(ひがしみの)」 なのだそうです。率直に言います。 ハッキリ言ってダサい。 これじゃ、平成の市町村合併で廃案に追い込んだ愛知県の「南セントレア市」とさほど変わらないレベルの貧困な発想です。
 位置関係のお分かりにならない方もいるかと思いますので、簡単に東濃地方の位置関係について説明します。岐阜県は大きく分けて、岐阜・西濃・中濃・東濃・飛騨と地域が分かれており、東濃地方は岐阜県の南東部に位置しています。更に東濃地方は、多治見市・土岐市・瑞浪市の西部と恵那市・中津川市の東部の2つに分かれます。前者については、3市が地場産業の陶磁器産業で共通していることも多く、行政を中心に「東濃西部」の表現を用いることが多いのですが、後者は中山道や木曽川による交易が盛んで、東濃西部と培った文化も異なることもあって独自の経済圏を形成しています。地域の名称については読みが長く同じ漢字を2度も使う「東濃東部」という言葉は使わず、旧郡名の「恵那」を用いることが多かったのですが、特に中津川市の認識が他地域の人にされにくいことから、最近になって経済界を中心に「東美濃」という表現を盛んに用いるようになりました。農協も「JAひがしみの」、中津川の体育館も「東美濃ふれあいセンター」。次はご当地ナンバーも「東美濃」で一気に畳みかけようとしているのでしょう。 ナンバープレートに採用すべき名称の条件は、「読みやすさ」と「画数の少なさ」なんです。だから、愛知県の「尾張小牧」や千葉県の「袖ヶ浦」のような、読みにくい、画数多い、どこの地名かわからない。このような大失敗例を二度と出してはならないのが、ご当地ナンバーの命題なのだと思います。こういう怨恨は、地域に後世に残り影響しますから、地域の未来も考えて欲しいものです。名古屋でもいまだにいますよ。愛車を「尾張小牧」ナンバーに変えるのが嫌なので、名古屋の郊外に住みたくないって人。一部の権力者による自己満足が、どれだけ地域に悪影響を及ぼすのか。
今回、陳情した人は、恵那商工会議所会頭は地元のガス会社社長。多治見商工会議所会頭はスーパー「バロー」の社長ですが、バローは恵那市発祥の企業。つまり、今回のご当地ナンバー運動は恵那地方主導の運動なんです。そもそも、同じ東濃でも多治見や土岐で「東美濃」なんて地域名称を使うことありませんから。「外に発信するには東美濃の方が理解されやすい」。長野県とさほど変わらぬガソリン価格を地域全体で高値安定させ地域独占しているような企業や、他のストアチェーンに進出されないように少しでも広い土地があれば出店して、いまだに鎖国のような商売をしている企業の大将の口が良く言うなぁと思いますが(笑)。 過去に東濃地方では、多治見市選出の県会議員の横暴で多治見市の外にあって、多治見市の区域が1ミリたりとも含まれていない土岐市の区域内に「どうしても多治見の名前を入れたい」と暴論ぶち上げて、「土岐南多治見インター」なんてセンスの無い長く読みずらい地域の恥となる高速道路のインター名が付いてしまった悪しき前例もあります。庶民目線の持たない一部の人の自己満足で後先考えない蛮行を許さず、後世の人に「あの頃の市民は何考えてたんだ!」と恨まれないように、東濃地方の市民が声を上げていくことが必要に感じます。私はご当地ナンバーは「東濃」で良いと思います。東濃なら、多治見から中津川まで全地域を含みますし、住民も納得して使います。岐阜県の役人だって、その昔に「新首都は東京から東濃へ」って恥も外聞もなく言ってたじゃないですか!地元の人に愛されない名称が後世まで残ることほど、愚かで恥ずかしいこともありません。いっそのこと、住民投票でもやれば良いのに。まぁ、住民投票やると潰されると恐れているのでしょう。最後に名誉主義に走るのは勝手だが、後世まで地域住民が背負う汚点を残すな(怒)!バカモン(怒)!と言っておきます。
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