「岐阜県の恥」から「全国の恥」になりつつある、岐阜県東濃地方の東美濃ナンバー問題。
 東濃地方の問題に始まって、名古屋のメディアに拾われ、ついに全国紙へ。朝日新聞に続いて、なんと日本経済新聞までもが全国向けに記事を取り上げてくれました!(画像は2018年4月30日日本経済新聞朝刊より) ご当地ナンバーでは名称のセンスの悪さで全国ニュースに担ぎ上げられた新潟県の「雪国魚沼」ですら、地元自治体のアンケートで反対多数で導入を断念しているというのに、まともな住民アンケートすら取らずに暴走が止まらない岐阜県の「東美濃ナンバー」問題。いかに東美濃ナンバー問題が住民感情を踏みにじったうえで、一部の推進論者による横暴でかつ時代錯誤な思考で物事を進めているか。これまでの経緯をしっかりとまとめています。市民の意見は掲載せず、経済界中心に記事を書いているのが日経らしいところ。しかし、最後に非常に興味深い文章がありました。
『協議会の関係者は 「岐阜ナンバーでも付けるのが嫌なのに、東美濃ナンバーにはますます抵抗がある、と訴える住民もいた」と明かす』
協議会関係者ですら、東美濃ナンバーの反対論者がいることを認めているのです。しかし、東濃・可児の商工関係者や行政など、東美濃ナンバー推進派は観光振興という建前の下、自分たちの利益のためだけに東濃・可児の市民40万人を人柱にして、個人所有物である愛車に聞いたこともない名称である「東美濃」なんてダサい造語のナンバープレートを強要しようとしているのです。
 話を戻します。「岐阜ナンバーが嫌な東濃・可児在住者がいる」。これは事実です。実は、多治見市や可児市に新興住宅街が造られ始めた1980年代から、主に名古屋市を中心とする愛知県からの続々と転居してきたのですが、クルマの「岐阜ナンバー」への変更は大きく遅れていました。ナンバープレートを「岐阜」に変えないということは、岐阜県側としては自動車税など税収にも大きく影響を及ぼします。そこで、多治見市や可児市の新興住宅街には右の画像のような看板が立てられ、PRがなされていました。 「岐阜ナンバー」に変更しない最大の理由は岐阜という名称が「ダサいから」「田舎者にみられる」などの理由と思われがちですが、これは最大の理由ではありませんでした。「岐阜ナンバー」に変更しない最大の理由は、「岐阜ナンバー」管轄エリアの中にナンバープレートの変更手続きができる陸運支局は50㎞以上離れた岐阜市(しかも、街はずれで羽島市に近いエリア)にしかない上に、窓口は平日しか開いておらず、更に変更に際して手数料まで取られ、事実上ナンバープレートの変更手続きが1日仕事になってしまうため、平日の昼間は働いているサラリーマン家庭ではとても「岐阜ナンバー」に変更する時間的余裕がなかったというのが正しい理由です。
ただ、嫌がっていた方の大半は団塊世代の方も歳を重ねてクルマを買い替える際に、多くの方が「岐阜ナンバー」に変わっており、多治見市や可児市の住宅街を回ると「岐阜ナンバー」のクルマばかりです。東美濃ナンバー推進派は、理由の如何を問わず導入を強行しているのは、「東美濃ナンバー」導入が決まってしまえば、初めは騒ぎになれど「喉元過ぎれば熱さを忘れる」じゃないですが、数年たてば買い替えなどで自然に「東美濃」に染まると考えているのです。 しかし、愛知県の「尾張小牧ナンバー」のように、地域の中に長年自治体間で住民感情に因縁が残ってしまうケースや、同じ名古屋市に隣接しているのに「名古屋ナンバー」エリアの長久手市や日進市と比べて街の発展ペースが落ち込んでしまった「尾張小牧ナンバー」エリアの尾張旭市のような現象(住宅地としての人気の変化)が、東濃・可児に襲いかかろうとしているのです。多治見市や可児市は住宅需要がまだ高い地域です。東美濃ナンバー導入によって、その人気に陰りが出てくるのは間違いありません。観光で地域振興でき利益を得る人は一部の商工関係者だけで一般市民にはメリットはありません。リニア新幹線についても同様で、可児市・多治見市・土岐市にメリットはありません。根本的に「ご当地ナンバー」が観光振興の手段として効果を示すなんて根拠はこれまで誕生している全国のご当地ナンバーを見ても、観光地などの地名でない限り前例は一つも無いです。最大の理由は、地元住民の行動範囲は地元での往来が圧倒的多数であって、県外では愛知県に出る程度で、それ以外の県に出る人は行楽などいても、ごくわずかです。全国区で動く運送会社も地元に拠点を置く企業は数社でトラックの台数も限られます。 東美濃ナンバーは地域連帯・地域振興どころか、可児、東濃西部、恵那中津川の3地区で地域内対立をより深刻にするのが関の山なのです。 歴史を重ねてきた郷土、東濃・可児の誇りを次の世代に自信持って渡せるように、目先の利益にとらわれぬ様、鳴りやまない「東美濃ナンバー」推進派の目覚まし時計をみんなの手で止めましょう!
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